弁護士堀康司(常任理事)(2002年3月センターニュース168号情報センター日誌より)
医事関係訴訟委員会の動向ですが、最高裁民事局提供の資料によれば、平成14年1月16日に第3回委員会会合が第1回鑑定人等候補者選定分科会と合同開催され、新たに9つのケースについて推薦依頼先の学会を決定した様子です(日本循環器学会×3、日本神経学会×2、日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本小児科学会、日本整形外科学会。なお、平成14年2月15日現在、最高裁のHPには第3回会合の議事録は掲載されていません)。
また第2回委員会で推薦依頼先が決定した5件(6件あったはずですが、今回提供の資料では日本老年医学会宛に推薦依頼がなされたはずの事案の状況が不明となっています)のうち、日本乳癌学会及び日本脳神経外科学会は、委員会に対する鑑定人候補者の推薦を完了しており、既に委員会を通じて各裁判体に候補者名が伝えられた模様です。
各学会相互の間にも、積極的に鑑定の質を確保・維持しようとする学会と、その点に関心のない学会の差が出てくることも予想されます。
今後は、(1)学会内でどのような推薦基準が用いられたのか(2)候補者を検討したのは学会内のどういった組織なのか(3)推薦結果が学会内で広く報告されたか(4)実際に作成された鑑定書のピアレビューを学会内で行ったかどうか等の追跡を行い、各学会の姿勢を外部から評価していくことが重要となると思われます。