弁護士堀康司(常任理事)(2002年7月センターニュース172号情報センター日誌より)
司法制度改革審議会意見書が提言した専門委員制度については、法制審民訴人訴部会で議論されてきましたが、6月末に同部会から中間的な試案が公表される予定となりました。
司法審意見書では、争点整理のサポート、和解の担当・補助、専門的知見を要する問題点に関する調査・意見陳述、証拠調べへの関与等といった態様で専門家が訴訟に関与する制度が念頭に置かれていました。現在は同部会内において、導入を前提としつつ、当事者の同意なく専門委員を関与させることができるか、訴訟のどの段階で関与させるか、専門委員の発問権を認めるか否か等が議論の焦点となっているようです。
専門委員たる医師が公正な第三者的立場で関与するとは限らないこと、専門委員の意見に対する反論機会の保障が乏しいこと等に照らすと、内容によっては「反論機会なき鑑定制度」の創設につながりかねない危険性をはらんでいます。
中間的試案発表後の日程としては、今年の夏ころまでにパブリックコメント募集等で意見集約がなされ、9月以降さらに審議会で議論を加えた上で、来年の通常国会には改正法案が提出される見通しです。既に医療問題弁護団(東京)が平成14年3月1日付けで導入反対の論陣を張った意見書を公表済ですが、中間的試案の公表後にはあらためて各地の弁護団・研究会にて迅速な意見集約をお願いしたいと思います。