弁護士堀康司(常任理事)(2002年8月センターニュース173号情報センター日誌より)
新たに8件を推薦依頼
同会合ではあらたに8件について推薦依頼先学会が選定されました。また、前回の会合までに学会選定が完了した全事件について、その後の経過についての一覧表が公開されています。学会選定後1~2カ月程度で各学会から鑑定人候補者の回答がなされているようですが、推薦された医師の氏名は明らかにされていません。また各学会内での推薦基準や推薦手続についての情報もありません。一覧的に情報が開示されることは望ましいことですが、より詳細な情報開示が臨まれます。
学会内推薦システム
議事要旨によれば、日本循環器学会では推薦依頼を同学会医療倫理委員会内で処理しており、日本外科学会では新たに鑑定人推薦のための委員会が設置されたとの情報が紹介されています。推薦プロセスの透明性確保には、各学会内での明快なシステム構築が不可欠です。これらの組織が透明性確保に先鞭を付けるものとなるのか、動向が注目されます。
委員会は地元連携重視?
同会合には千葉、東京、大阪の各地裁の医療過誤集中部の判事がオブザーバーとして出席し各地の状況を委員に説明していますが、地域医療機関と地元裁判所の連携の動きはますます進行しているようです。
議事録では、同委員会と地域ネットワークとの関係について、キャパシティとの関連から「まずは地元医療機関に依頼できるようにすることが望ましい」との説明がなされています。しかし各地で自助努力することと、地元医療機関に鑑定を依頼することの間に論理的な必然性はありません。地元医療機関=潜在的(あるいは実際に)被告であることが多い以上、各地裁はむしろ他地域との連携を強化すべきです。地域ネットワークは地元裁判所のためではなく、むしろ他地域の裁判所にとって有益なシステムとなるべきでしょう。地域完結型ネットワーク作りの動きについては今後も注意が必要です。