医療事故情報は活用されるか?~厚労省検討部会がスタート

弁護士堀康司(常任理事)(2002年10月センターニュース175号情報センター日誌より)

   平成14年7月29日、厚労省医療安全対策検討会議内に設置された「医療に関する事故事例情報の取扱いに関する検討部会」が第1回会合を開きました。


  今年4月に同検討会議が発表した『医療安全推進総合対策』では、インシデント事例(=悪しき結果は未発生の事例)の情報については、厚労省が既にスタートさせている医療安全対策ネットワーク整備事業に全ての医療機関が参加できるようにするという方針を打ち出されました(現行の参加医療機関は特定機能病院と国立病院・療養所)。しかし、実際に悪しき結果が発生してしまった事例(=医療事故事例)の情報の取扱いについては、今後の検討課題として具体的提言が先送りされていました。


  この先送りにされていた課題の具体的検討が、今後同検討部会において進められることになりました。医療事故の情報が患者のために十分活用されることになるのかどうか、議論の行方を注視する必要があります。 


  検討部会の第1回会合では、事務局から事故事例情報についての論点が説明されましたが、その中では、医療機関や行政からの情報提供のみならず、損保会社保有の事故情報の活用可能性についても言及されており、かなり幅広い論点について議論がなされるようです。また次回会合以降、同検討部会では医療事故被害者や有識者からの意見聴取も行われる見通しです。


  検討部会は公開で行われていますので、是非傍聴等にご参加下さい(次回は9月26日。第3回会合は11月14日になりそうです)。なお、議事録や会議の日程については厚生労働省の「審議会議事録等(その他検討会、研究会等)」のページに随時掲載される予定です。


■ 厚生労働省関係審議会議事録等:その他(検討会、研究会等)

http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html