事故公表基準~公立病院で明文化進む

弁護士堀康司(常任理事)(2003年3月センターニュース180号情報センター日誌より)

基準の明文化の動き

  医療事故に関する情報が迅速に幅広く共有されることは、同種の事故の再発防止のために大変重要です。現在、厚労省の医療に係る事故事例情報の取扱いに関する検討部会において事故情報の取扱いについて意見の最終とりまとめが行われていますが、各地の公立病院では独自に事故情報の公表基準を明文化する動きが現れています。報道やウェブ上から確認できた例は次のとおりです。

・新潟県立病院(H12~)※

・長野県立病院(H13~)

三重県立病院(H14~)※

・岐阜県立病院(H14~)※

・磐田市立総合病院(H15~)※

・四日市市立四日市病院(H15~ 予定)

・山形県立病院(H15~ 予定)

・群馬県立病院(H15~ 予定)

 (※印はウェブ上に公表基準が掲載されていることが確認できたもの)

公表基準の内容は?

  明文化された内容を見ると、発生した結果の重大性によって公表するかどうかの区別を行い、患者さんのプライバシーにも配慮しつつ、事故の情報を公表して、同種事故の再発防止のための基礎情報とするとともに、病院としての説明責任を果たすという点でほぼ共通しており、大変望ましい方向性であると思います。

  ただ、基準の具体性という点では、極めて詳細に公表すべき内容や公表までの手順が定められているものもある反面で、具体性がやや乏しいのではと思われるものも散見されます。

  今後も各地で同種の明文化が加速すると思われますので、今後の実際の運用状況も踏まえつつ、より良い公表基準のあり方をユーザー側からも提案していくことが望まれます。