弁護士堀康司(常任理事)(2003年7月センターニュース184号情報センター日誌より)
最高裁から発表された平成14年の医事関係訴訟統計の概要は次のとおりです。
新規提訴はなおも増加、既済件数も大幅増
平成14年度(1月~12月)の新受件数は896件に達し、過去最高だった昨年(814件)をまたも上回りました。他方で年度中の既済事件数も853件(昨年度:725件)と大幅に伸びています。未済件数は2010件(同:1967件)に達しました。
一審審理2年半時代の到来
平均審理期間は30.4ヶ月(前年比-2.3ヶ月)となり、過去最短だった昨年から更に大幅な短縮が見られています。訴訟の短縮化傾向はますます顕著になりました。
取下げ件数が急増?
平成14年度の既済853件中、判決で終了したものは373件(43.7%)、和解で終了したものは374件(43.8%)と比率的にはほぼ例年どおりでした。
判決で終わったもののうち、勝訴率(一部勝訴を含む)は38.6%(昨年度:38.5%)で、ほぼ例年どおりの低い値に留まりました。
なお、取り下げで終了した件数が66件(7.7%)に達し、件数、比率とも過去10年の最高値(平成12年度:39件、平成7年度:6.8%)を更新している点が目を引きます。
診療科順に変動なし
診療科目別の新受件数は、総数922件(=複数科目該当事案あり)中、内科(241件)、外科(210件)、整形・形成外科(140件)、産婦人科(113件)、歯科(60件)などとなっています。診療科毎の順序は昨年及び一昨年と同様であり、変動はありませんでした。