弁護士園田理(常任理事)(2004年12月センターニュース201号情報センター日誌より)
広告規制の緩和-より多くの情報を
医療に関する広告は、医療法で、限定的に認められた事項以外は、原則として禁止されています。これは、不当な広告がなされた場合、それにより受ける被害が他の分野に比して甚大となるおそれがあり、また、広告文言では提供される医療サービスの質を専門性ゆえ事前に適切に判断するのが極めて困難であるため、医療の利用者保護の見地からなされているものです。
ただ、利用者が医療機関や医師選択の判断を主体的に行うに当たり必要かつ有益な判断材料となる情報が、広告規制によって制限されるのは、好ましくありません。
そこで、近年は広告規制が緩和され、例えば医師の専門性に関する情報を市民に提供できるように、一定の条件を満たした団体の認定する資格名(○○科専門医など)を広告することができるようになっています。
広告規制の限界
他方、近年インターネットがめざましく普及する中、そこに開設された医療機関のホームページなどを通して多くの医療情報が提供されるようになり、利用者の利便が向上している面がありますが、そのようなホームページは、利用者が自らの意思で情報を得るためアクセスするものだからという理由で、原則として医療法で規制される「広告」には該当しないと扱われています。そのため、ホームページ上で虚偽あるいは誇大な表現がなされていても、事実上野放し状態となっています。
より良質な情報を
そのような中、医療機関などが医療情報を提供するに当たり遵守すべき倫理規約を策定し、これを遵守しているウェブサイトに認証シールを発行することによって、利用者がインターネットを通して良質の医療情報にアクセスできるようにしようとする試みが、NPO法人日本技術者連盟内の医療健康情報認証機構で今秋より始められたと報じられました。注目すべき取り組みだと思います。
また、東京都では、医療に関する広告に該当しないとされるホームページなどによる「広報」を対象にガイドラインを策定し、医療に関する情報提供に一定の指針を設けようとの試みも進められています(ガイドライン素案は東京都のホームページで公開されています)。
ホームページなどで医療に関するより良質な情報が提供されるよう、われわれも情報を鵜呑みにすることなく、厳しく見極めることが必要だと思います。