提訴は微増、審理期間は2年未満に~平成19年医事関係訴訟統計より 

弁護士堀康司(常任理事)(2008年8月センターニュース245号情報センター日誌より)

最高裁が速報値を公表

  最高裁は、平成19年の医事関係訴訟統計の速報値を公表しました。裁判所HPの「公表資料」→「医事関係訴訟委員会について」とたどると、一覧表が掲載されています。

提訴件数は微増

 年間の新規提訴件数(新受件数)は平成16年の1,110件をピークに、2年連続で減少していましたので、減少傾向がどこまで続くか注目されていましたが、平成18年の913件に対し、平成19年は944件と微増に転じました(図1)。

平均審理期間はついに2年未満に

   平均審理期間は過去10年一貫して短縮傾向にありましたが、平成19年は23.6ヶ月となり、ついに2年未満となりました。平成10年には35.1ヶ月でしたので、10年で3分の2まで短縮されたことになります(図2)。

和解率は2年連続で5割超に

  平成19年の終局区分別の比率は、判決が35.5%、和解が52.2%でした。平成18年に続いて、和解で終了した事案が半数を超えたことになります。判決件数に対する和解件数の比率は、過去10年の平均で121%ですが、平成18年は151%、平成19年も147%となっていますので、終局区分にしめる和解の比率の高まりが顕著となっているようです(図3:件数ベース)。

判決認容率は低迷するも実質認容率は6割台で横ばい

  判決で終局した事件における請求認容率(一部認容も含む)は37.8%と、相変わらず低迷しています。ただ、認容判決件数と和解件数を合算して終局事件総数に占める割合を計算すると、65.6%となります。この値は過去10年通じてほぼ60%台で横ばいとなっています。このことからは、かつては判決を仰ぐところまで進まざるを得なかったケースが、近年は和解によって解決できるようになった可能性が示唆されます(図4)。

※グラフ1~4はこちらをご参照ください
080801センターニュースNo.245.pdf
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