弁護士園田理(常任理事)(2009年7月センターニュース256号情報センター日誌より)
最高裁が速報値を公表
最高裁が平成20年の医事関係訴訟統計の速報値を公表しました。裁判所HPの「公表資料」→「医事関係訴訟委員会について」とたどると、一覧表が掲載されています。
提訴件数は再び減少へ
平成20年の新受件数(地裁で新たに提訴された件数)は877件。
新受件数は、平成16年をピークに2年連続で減少し、平成19年には微増したものの、平成20年は再び減少に転じ800件台となりました(グラフ1)。
平均審理期間の短縮に歯止め
平成20年の既済事件の平均審理期間は24.0ヶ月。
平均審理期間は、平成12年以降、期間短縮が続き、平成19年は2年をわずかながら切りましたが、平成20年は期間短縮に歯止めがかかりちょうど2年になりました(グラフ2)。
和解が減り判決が増える傾向
平成20年の既済事件の終局区分のうち判決は37.6%、和解は50.0%。
判決と和解の比率は、平成18年までは判決が減り和解が増える傾向が続いていましたが、その後ここ2年は和解が減り判決が増える傾向を示しています(グラフ3)。
判決の勝訴率が大幅に低下
判決の勝訴率(一部認容を含む)は26.7%。
判決の勝訴率は、平成15年から徐々に低下していき、平成19年に若干上昇して持ち直したものの、平成20年は10ポイント余りも低下して30%を切り、ここ10年間で最低水準となりました(グラフ4)。
なお、グラフ4には、医事関係訴訟の既済事件のうち勝訴的な終局をしたもの(一部認容判決や和解を含む)の割合の推移グラフも重ねて表示してみました。このように和解で終局したものも考慮に入れた勝訴的終局率で見ても、平成20年は60.0%と過去10年で2番目に低い数値となっています。