柄沢好宣(嘱託) (2017年12月センターニュース357号情報センター日誌より)
はじめに
2017年10月号の「情報センター日誌」において、「医師の働き方改革~検討会における論点の整理」と題して、医師の働き方改革に関する検討会における論点整理状況をご紹介しました。
その後、10月23日に開催された第3回検討会において、医師の勤務実態調査の結果が報告されました。
実態調査結果
今回の報告では、外科医、産婦人科医、小児科医の勤務実態について報告されています。
それぞれ勤務(労働)時間の平均を見ると、外科医調査で78.5時間、産婦人科医調査で48.4時間という結果が出ています。ただし、外科医調査では、「労働時間=1週間当たり勤務時間+当直時間+兼業時間」として集計されているのに対し、産婦人科医調査では「勤務時間=当直を除く1週間の平均勤務時間」として集計されています。小児科医調査では拘束時間(夜間・休日のオンコール時間)+時間外労働時間(超過時間(当直日直以外の時間外・休日・深夜勤務時間)+当直日直時間)の全体平均が145.7時間となっています。もっとも、こちらは1か月当たりの平均値なので、1週間当たりを単純計算すると約36.4時間となります。また、報告で示されている用語の定義からすると、外科医調査や産婦人科医調査でいうところの「勤務時間」は含まれていないようです。
労働基準法は、原則として1週間当たりの労働時間の上限を40時間と定めているところ、いずれの調査結果もこれを上回っていることがわかります。
注目すべきは勤務時間だけか
注目すべきは勤務時間だけか
10月号の拙稿でも述べましたが、医療現場の実情に鑑みたとき、単純に勤務(労働)時間のみでこの問題を議論することは難しいと思われます。
上記拙稿に対して、ある正会員の方から、むしろ「休息時間の把握」が重要ではないかとのご意見をいただきました。今回の調査結果にも、月間休日日数について、外科医調査では平均3.6日、小児科医調査では41.1%が4日以内にとどまっているとの調査結果が示されています。
適正な勤務(労働)時間を維持することも重要ではありますが、直ちにこれを是正できないということであれば、むしろ、然るべき休息時間が確保されることが急務かもしれません。そのためには、1か月当たりの休日取得日数だけではなく、1日当たりの休息時間についても注目する必要があるかもしれません。
勤務環境改善の取組み
この間、11月10日には第4回検討会も開催され、「医療機関における勤務環境改善の取組について」と題する資料が配付されています。
ここでは、医療従事者の勤務環境改善の枠組みや、これまでの医療界における取組みの歴史も紹介されています。
【第3回検討会資料】
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000181816.pdf
【第4回検討会資料】
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000184233.pdf