柄沢好宣(嘱託) (2019年6月センターニュース375号情報センター日誌より)
総会記念シンポジウム開催される
毎年5月に開催しております医療事故情報センター総会記念シンポジウムを、今年も5月25日(土)に開催しました。
令和に入って初めての今年の総会記念シンポジウムは、「医療事故調査制度はどうあるべきか-制度施行後3年の実情から考える-」と題して、2015年10月に運用が開始されて3年を経過した医療事故調査制度の実情を振り返りながら、現時点での課題や改善策について意見交換が行われました。
パネリストには、永井裕之さん(患者の視点で医療安全を考える連絡協議会代表)、木村壯介さん(日本医療安全調査機構常務理事)、平川俊夫さん(日本医師会常任理事)、廣井透雄さん(国立国際医療研究センター病院理事長特任補佐(医療安全担当)・循環器内科科長)、伊藤進一さん(兵庫県医師会医療事故調査支援委員)といった方々をお招きし、それぞれのお立場から見えてくる本制度の実情についてご報告をいただきました。
参加された方々の状況
例年、総会記念シンポジウムはどなたでもお越しいただくことができますが、広く一般の方や弁護士はもちろんのこと、医療関係者の方にも大勢ご参加をいただいております。
今回は、全体で110名のご参加があったところ、そのうち、全体の3割を超える40名弱の方は医療関係者の方でした。中には、県外の医療機関からお越しいただいた方も14名ほどいらっしゃいました。
医療事故調査制度は、運用が開始されて3年半というところではありますが、各医療機関における医療事故調査のノウハウはそれほど多くの蓄積があるものではないように思われます。そうした中で、医療の現場で医療事故調査に対応する医療関係者の方々の、制度全体や他の医療機関における対応の状況がどのようになっているかという関心を大きく引いたのではないかと思います。
「対話の機会」のひとつとして
今回のシンポジウムの中では、「対話」という言葉が度々登場していました。医療事故調査が遺族側と医療機関側の対話の場、相互理解の場として機能することが期待されるというものです。
今回のシンポジウムでは、永井さんから医療を受ける側や遺族としてのご意見やご報告をいただいたほか、会場からも患者・遺族の立場でのご発言をいただくことができました。こうした患者・遺族側の思いは、ご参加いただいた医療関係者の方々にも受け止めていただくことができたのではないでしょうか。
また、我々医療を受ける側としても、医療事故調査制度の実情を知り、小さく生まれたばかりのこの制度を、どのようにすれば大きく育てることができるかを考える大変よい機会になったと思います。
その意味では、今回のシンポジウムもまた、遺族側と医療側との対話の機会となった部分も少なからずあったのではないかと感じています。
お忙しいところをご登壇いただいたパネリストの皆様はもちろんのこと、会場にお越しいただいた皆様にも、改めて御礼を申し上げます。今後も、こうした対話の場としてのシンポジウムを企画して参りたいと思います。
なお、当日の内容に関するご報告は、来月号に掲載予定となっておりますので、そちらもお楽しみに。