続・美容医療の適切な実施に関する検討会

柄沢好宣(嘱託)(2024年8月センターニュース437号情報センター日誌より)

第1回会合開かれる

 先月号の本稿において、「美容医療の適切な実施に関する検討会」が設置され、本年6月27日に第1回の会合が開催されることになったことをご紹介しました。

 厚生労働省のウェブサイトに第1回検討会の資料が公表されましたので、今回は先月号の続編として、公表されている資料から確認できる範囲で第1回検討会での議論状況をご紹介します。

美容医療の現状と課題

  第1回検討会の議題は、次の2点とされています。

1.美容医療に関する現状について

2.本検討会のスコープと検討の進め方について

 このうち、1点目については「資料1 美容医療に関する現状について」が公表されています。これによれば、美容医療に対する需要の高まりや、それに伴って美容医療を提供する医師・医療機関も増加していることで、利用者による相談件数や、危害事例も増加していること、他方で、美容医療が自由診療として提供されることから、指導・監査等の範囲が保険診療と比較して限定的である等の美容医療の現状と課題がまとめられています。

 その上で、「検討会の目的」として、美容医療に関する被害を防止し、質の高い医療の提供を行うために、どのようなことが考えられるかを検討するとの方向性が示されています。

検討会のスコープと進め方

 議題の2点目の関係では、「資料3 本検討会のスコープと検討の進め方について」が公表されています。

 これによれば、検討会で検討対象(スコープ)となる「美容医療」について、「美容目的」で行われる「医行為」とすることが示されています。具体的には、脂肪吸引、フェイスリフトといった外科的手技を要するものはもちろん、レーザー等によるシワ・たるみ治療、HIFU、PRPによる再生医療などの非外科的手技、GLP-1ダイエット(医療ダイエット)、AGA薬処方などの内科的療法が美容目的で行われる医行為となるとされています。

 また、美容医療に関するトラブルは、勧誘・説明・契約を含む診療の場面と、その前提としての広告、医薬品等の仕入れや医療機関の開設・運営などに関するものなど多岐にわたりますが、この検討会では、近年、美容医療の利用者からの相談が増加していることを踏まえ、診療の場面に関する課題に関して、美容医療の特性を踏まえた対応の検討を行うことが提案されています。

 具体的な検討会の進め方としては、問題となる事例について、診療や契約などの場面ごとに分けながら課題の整理等が進められていくことになりそうです。

関係法令との関係での検討も

 資料1では、美容医療の現状として、美容医療については、医事関係法令の適応関係が明確でない、医療機関が消費者保護法制を正しく理解できていないために、不適切な広告表示や消費者被害が発生してしまう事例が見られるといった現状も指摘されています。資料3によれば、こうした法令等との関係での問題点の検討も当然ながらされるようです。

 美容医療に関する法律相談を受けることもありますが、手技の適否などの医療的な問題だけでなく、それに関わる関係法令の理解も必要です。この検討会での議論をフォローしつつ、学んでいく必要があるだろうと感じました。

※7月24日付で議事録が公開されました。詳細はこちらをご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001279255.pdf

 

(参 考)

■厚生労働省ウェブサイト

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41010.html