医療法の一部を改正する法律案

松山健(常任理事)(2025年3月センターニュース444号情報センター日誌より)

医療法の一部改正案

 厚生労働省は、2024年12月18日に開催された社会保障審議会・医療部会で、2040年頃を見据えて、「新たな地域医療構想」、「医師偏在対策」、「医療DX(デジタル・トランスフォーメーション)」、「オンライン診療の法制化」など、医療提供体制の総合改革を目指す方針を概ね確認し、医療法の改正案を作成し、年明け(2025年)の通常国会提出を目指して準備していました。

 政府は、2月14日、厚労省の作成した医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(薬機法)等改正案と医療法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、第217回国会(令和7年常会)に提出しました。

 本稿では、医療法等の改正法案についてご紹介します。

改正の趣旨

 厚労省の社会保障審議会では、本格的な人口減少と超高齢社会の進行する2040年を視野に、現役世代の負担を軽減しつつ社会保障制度の支え手を増やし、能力に応じて全世代が支え合う「全世代型社会保障」の構築を目指し、医療提供体制については、すべての地域・世代の患者が、適切に医療・介護を受けながら生活し、必要に応じて入院し、日常生活に戻ることができ、同時に、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる体制の構築を目指すとしています。

 今回の法案についての厚労省の概要では、改正の趣旨を「高齢化に伴う医療ニーズの変化や人口減少を見据え、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築するため、地域医療構想の見直し等、医師偏在是正に向けた総合的な対策の実施、これらの基盤となる医療DXの推進のために必要な措置を講ずる。」とまとめています。

改正の概要

 改正は3本柱です。

1 地域医療構想の見直し等

① 地域医療構想につき、2040年を見据えた医療体制を確保すべく、次の見直しを行う。

・病床、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む医療提供体制全体を構想する。

・地域医療構想調整会議の構成員として市町村を明確に位置づけ、在宅医療や介護との連携等を議題とする場合に参画を求める。

・医療機関機能(高齢者救急、地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能等)の報告制度を設ける。

② 「オンライン診療」の定義、手続規定やオンライン診療を受ける場所を提供する施設に関する規定を整備する。

③ 美容医療を行う医療機関に定期報告義務等を設ける。

2 医師偏在是正に向けた総合的な対策

① 「重点的に医師を確保すべき区域」を都道府県知事が定めることができるようにする。

② 外来医師過多区域の無床診療所への対応を強化する。

③ 保険医療機関の管理者について、保険医として一定年数の従事経験を持つ者であること等を要件とし、責務を課す。

3 医療DXの推進

① 必要な電子カルテ情報の医療機関での共有等や感染症発生届の電子カルテ情報共有サービス経由の提出を可能にする。

② 医療情報の二次利用の促進のために、厚労大臣が保有する医療・介護関係のデータベースの仮名化情報の利用・提供を可能にする。

③ 社会保険診療報酬支払基金を医療DXの運営母体として名称を変更し、目的、組織体制等の見直しを行う。

まとめ

  厚生労働省は、3、③について、2025年1月30日、従来、医療費請求書の審査などを行なっていた「社会保険診療報酬支払基金」の名称を「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」に変更することを明らかにしました。今後、法案が可決されると、2040年に向けて、上記の制度改革が進められていくことになります。